北海道斜里町の英語教室

第七回 品詞って重要?

次の文を見てください。

The girl is a very cute. (cute = かわいい)

さあ、どうですか? 主語は“The girl”、動詞は“is”、be動詞の文ですね。あれれ、でも、The girl って、ダレでしょう? “the”がついてるってことは、「あ、あの女の子ね」とわかる「これっきゃない」女の子ってことでしたね。じゃ、どの女の子? わかんないよね~。私にもわかりません。これは、たとえばその前に、「ハナコちゃん」という女の子がいてね……などのような前フリがあれば、the girl は「ハナコちゃん」だとわかりますね。あるいは、小説などの出だしでこんな表現をして、読者に「その女の子ってダレなんだろう、ワクワク」なんて思わせる手もありますけどね。

というわけで、この文だけいきなりポンとでてきても、聞いたり読んだりしている人にはふつう「何のことやら状態」です。まあ、英語の授業の例文やテストの問題文だったら、話は別ですけどね。

では、その後ですが、“a very cute”になってますね。何か変じゃないですか? 変でしょ? うん、変だ。何がおかしいのでしょうか。そう、「a の状態」になってませんね。cute は「かわいい」という意味ですが、「かわいいなんなの?」というのがはっきりしなければ「a の状態」にはなりません。じゃ、どうするか。「a の状態」じゃないんだから、a をとればいいんです。The girl is very cute. ならOK。「その女の子はとってもかわいいんだよ~ん」という文です。「a の状態」で言いたいのなら、「とってもかわいいなんなんだ~」と考えて、見えてくるのが「女の子」の姿だから、“a very cute girl”です。でも、girl が2回でてきて、ちょっとクドイっすね。はい、そこのキミ、となりの“the girl”といちゃついてる場合じゃないぞ~。はは。

さて、復習もかねてちょっと詳しく見てきましたが、今回のテーマは「品詞」です。「品詞」というのは、言葉の「働き」をあらわすモノです。これまでにでてきたのは、「名詞」と「動詞」ですね。「名詞」と「動詞」は文にはなくてはならないものです。あやしかったら、今までの講座を復習してみてくださいね。

「品詞」については、あまりハマりすぎるのはいけませんが、おおまかな「働き」を知っておくことは、英語の勉強の助けになります。

じゃ、行きますよ。最初の例文ででてきた、“cute”。気になるでしょ。その働きを考えてみましょう。

The girl is very cute.

第3回でやった、be動詞の話、覚えてるでしょうか。be動詞の文は、後に、「なんなの?」とか、「どんなふうなの?」にあたる言葉がくるんでしたね。

この文は、「誰が?」→「その女の子が」、「どうしたの?」→「だよ~ん」、「どんなふうなの?」→「(とっても)かわいい」という形になっています。cute は、「どんなふう?」にあたる言葉です。

このように、名詞について「どんなふう」かを説明する言葉を「形容詞」といいます。形容詞は、be動詞の後に来てどんなふうかを説明するほかに、さきほどの“a (very) cute girl”「(とても)かわいい→女の子」のように名詞の前に置いて直接どんなふうかを説明する使い方があります。

さて、今度は“very”。気になってます? これは何者でしょう。「とっても→女の子」なんて、日本語だと何となく通じそうだけど、これは形容詞ではありませんよ。「女の子」のことを直接説明する言葉じゃないですね。じゃ、何のためにあるのかっていうと、「かわいい」ってのを強めるためにあるんですね。

てなわけで、ここは「かわいい」という「形容詞」をさらに詳しく「どんなふうに」と説明しているわけです。これを「副詞」といいます。副詞のキーワードは、「どんなふうに?」です。

「どんなふうに?」というと、たとえば、「走る」という言葉を考えてください。「走る」といっても、いろんな走り方がありますよね。「どんなふうに」走ります? 「速く走る」、「ゆっくり走る」、「だらだら走る」、「必死に走る」、「いやいや走る」、など、いろいろありますね。これらもみんな「副詞」です。「走る」ってのは「動詞」だよね。だから、副詞は、動詞についても、「どんなふうに」と説明する働きがあるわけね。

それから、また“very”の登場ですが、「とても速く走る」という言い方もできますね。これって、「速く」という副詞をさらに「どんなふうに速く?」と強めてますね。副詞は副詞も説明しちゃうわけです。なんか「とも食い」みたいですけどね。

というわけで、今回は、「形容詞」と「副詞」が登場しました。形容詞は、名詞が「どんなふう」かを説明する言葉で、副詞は、動詞(さらには形容詞、副詞も)を「どんなふうに?」と説明する言葉ですね。

これらの言葉は、その働きからもわかるように、文の中では必要不可欠な「主役」ではなく、単なる「アシスト役」です。だから、なくても文はできます。正確に言うと、be動詞の後にくる「どんなふう?」にあたる形容詞はなければ文になりませんが、それ以外は、別になくても文はできます。これ、ポイント。で、なくても「文」はできるんだけど、なければ言いたいことが伝えられないことがあったり、あればさらに詳しく、生き生きとした内容を伝えることができる、ってことなんですね。だから、なかなかあなどれないヤツらなんですよ。さらに、今後この講座でもあつかう内容で、「お、形容詞みたいじゃん」とか、「副詞みたいだぜ~」なんてのがでてきますので、この機会にぜひ、「形容詞」と「副詞」について理解しておいてください。

今回はなんだか国語の授業のようなノリでしたが、「その女の子はかわいくです」って、日本語として変ですよね。「かわいく」ってのがどうにも気持ち悪いでしょ。この、「気持ち悪い」感じが英語でもわかるようになるとすばらしいですよね。でも、日本語を覚えてきたのと同じように、知らないうちに「自然に」わかるようになるのは「すんごく」たいへんですし、そんな時間もありませんよね。だから、まず、少々理屈っぽくても基本的な働きをしっかり理解し、後はできるだけたくさんの英語に接して慣れていくようにしましょう。そうしていくことで、「気持ち悪い」への道が開かれていきます。がんばってください。

ついでながら、さっきの、「自然に」とか「すんごく」は英語では「副詞」で、「たいへん」は「形容詞」です。わっかるかな~? 国語の文法ではどうなのかは、国語の先生に聞いてください。実は国語の文法は苦手だったのだった……。