北海道斜里町の英語教室

第五回 名詞の使い方1

とつぜんですが、「名詞」ってわかりますか?

「名詞」とは、人やものの名前や、ことがらをあらわすことばです。「物事(ものごと)」と覚えてください。つまり、「もの」とか「こと」のことね。

名詞って、ちょっと考えるだけでもたくさんあります。ペン、本、タコ、イカ、水、空気、地球、日本、太郎、愛、責任、掃除、仕事、……みーんな、名詞です。目に見えるものもあれば、見えないものもありますね。

文のならべ方は主語と動詞、なんてことを今までやってきましたが、どうでしょう、今、名詞の例としてあげたことばに「は」をつけると、主語になるでしょ?そうです、文の主語になるのは、名詞(とその仲間)なんです。

この「名詞」というもののあつかい方が、日本語と英語ではヒジョーにちがうのです。そこで、今回は、名詞を攻めてみることにしましょう。

英語では、名詞にあたることばが、「数えられるものか、数えられないものか」をまず気にします。

「メロン」って、どんな果物でしょう?……さあ、みなさんの頭の中には、今、何が浮かんでいるでしょう?丸くて、上にニョキッとつるがでているあのメロンの形がひとつ浮かんでいるでしょうか?だとすると、これが英語の“a”という単語の状態です。じゃ、もうひとつ、「おじさん」と聞いて、何を思い浮かべますか?……姿はいろいろだろうけど、おじさんらしき人の姿がひとり浮かんでますか?はい、そこのキミ、こっちの顔を見てニヤニヤしてる場合じゃないよん。えーと、ひとり、オヤジ、じゃなくて、おじさんの姿が浮かんでいるとしたら、これも“a”の状態です。

まとめると、「ひとつの完成された、キマッた形」とか、「まとまった形」のあるものが「数えられる名詞」です。で、これがひとつあるとき、それが英語の「“a”の状態」。「あの状態」です、なんちって。だから、数えられるものがひとつあるときは、英語ではその名詞の前に必ず“a”という単語がきます。いいですか、必ずですよ。メロン一個の話をするときは、“a melon”です。

もし、数えられるものに“a”をつけなかったらどうなるか?---カンタンです。
「数えられないもの」、「キマッた形のないもの」になってしまうのです。たとえば、“a dog”だったら、ちゃんとした「一匹の犬」ですが、“dog”のまま裸で使ってしまったら、それは「キマッた形になってない犬」になってしまうんですねえ。「形のない犬」って……?「犬の肉」とか……。なんか、怖いぞ。でも、“melon”だったら、切ったメロンとか、ぐちゃぐちゃでも料理の材料になってるメロンってことになります。

“a”の状態は、名詞の数がひとつのとき(単数)ですが、ふたつ以上(複数)のときはどうしたらいいでしょう?この場合は、名詞の後ろに“s”をつけます。「“s”の状態」(意味ナシ…)。ライオンズとか、ベイスターズとか、シスターズ、などなど、日本語でもおなじみですね。前回やった、動詞につく“s”とは、同じ“s”でもまったく違いますから、こんがらがらがらがら、あれれ、ないように。

では、今度は「ミルク」を思い浮かべてください。
……そのミルク、何か「入れ物」に入っていますか?だとしたら、その「入れ物」自体が「“a”の状態」ですね。“a 入れ物”です。

じゃ、ミルク自体はどんなふうでしょう?白い液体ですね。ミルクに「キマッた形」はありますか?ないよね。だからミルクだけではアノ状態にはなれないんです。これを「数えられない名詞」といいます。数えられない名詞は、裸のままで使ってOKです。“a milk”はダメですよ。“milk”です。どうしても数えたいときは、「入れ物」に入れたり、「キマッた形」にして数えたりします。

さて、「私はオバケを見た」という文を前にやりましたね。「オバケ」は名詞ですね。

ちょっと考えてみてください。この場合、「オバケ」って、単数でしょうか、複数でしょうか?

日本語だけを見ると、どちらともとれますよね。話の状況などで、なんとなくわかるような気もしないでもないですが……。

でも、英語でいう場合は、「“a”の状態」か「“s”の状態」か、はっきりしなくてはいけません。オバケが一体だけいたのか、それともウジャウジャいたのか。一体だったら、“a ghost”で、二体以上だったら“ghosts”です。

「私は(I)」→「見た(saw)」→「オバケを」の順番ですから、
I saw a ghost. か、
I saw ghosts.
になるわけですね。

特に、オバケなんぞを見た日にゃ、興奮してたり、なんて表現をしたらいいかわからない状態になってたりすることもあるでしょう。それが一体だった場合、とりあえずは「“a”の状態」になっているわけですから、そのイメージのまま“a”をまず言ってから、具体的な名詞をさがすなんてこともよくあります。
「アイ ソー エイ……エイ……エイ……ゴウスト!」みたいにね。“a”は日本語の「ア」のような音ですが、強調したりする場合は「エイ」になったりします。

日本語は、ふんいきで分かる、はっきり言わなくてもわかるという、ある意味では高度なコミュニケーションのとりかたをする言語ですが、英語は、とにかくはっきり言わなきゃわかんない、というのが基本になっています。どちらがいい、と言えるものではありません。それぞれに、いいところ、悪いところがあります。でも、英語に接しているときは、英語の考え方を理解するようにしましょうね。

さて、名詞の使い方に関する話は次回にも続きます。あー、それにしても、オバケは怖いぞ。って、見たことないけど。